総合診療

天草教育拠点

活動概要

 天草教育拠点は、多くの方々のご尽力により、熊本大学病院地域医療・総合診療実践学寄附講座の2番目の学外教育拠点として、玉名教育拠点に引き続き2019年4月に設置されました。2020年度は2名の常駐寄附講座教員でスタートしています。

 設置の目標としては、①総合診療科としての天草地域の特性を踏まえた形での医療貢献②地域医療を含めた卒前卒後教育の充実、です。

 医療貢献という点では、天草地域医療センター総合診療科として、おもに2次医療機関としての病院総合医の役割を担っています。天草地域の小病院、クリニックなどから紹介していただき、主に紹介外来としての一般外来を毎日行っています。また、入院診療、救急外来、少数ですが在宅医療も行っています。

 教育に関しては、今年度からクリニカルクラークシップの受け入れを開始しました。今後、初期研修医の受け入れができるようにシステムを構築しているところです。

 地域医療実習の学生の一部、早期臨床体験実習の学生には、実臨床での実践的な教育、地域の特性を理解しつつ目の前の医療に落とし込む地域医療の教育などを行っております。

 今後、天草地域医療センター総合診療科に対して、特に地域医療機関や院内から求められることは、主に病院総合医としての役割だと思います。今後も地域医療機関や院内のニーズ応えつつ、しかしそれだけではなく、もっと広い地域のニーズを抽出しながら、天草地域の医療、教育の発展のため、ただの病院総合医にとどまらない貢献を、組織としてひとつひとつ実践していきたいと考えています。

教育活動

早期臨床体験実習Ⅲ

 熊本大学医学部では、早期臨床体験実習として今年から、3年生に1週間の日程で各病院での実習が行われました。天草地域医療センターにも3名の学生が実習に来ましたが、熊本大学からの移動時間の問題もあり、天草地域医療センターでの実際の実習期間は3日半でした。すべて総合診療科で担当しました。

 内容としては、認知症患者との雑談、外来患者へのインタビュー、リハビリテーションの参加、訪問看護の参加などを行いました。天草地域をベースに、地域の特徴を理解、把握したうえで診療を行うことの重要性を認識してもらえたと思います。

特別臨床実習

 熊本大学医学部では、1ターム3週間の特別臨床実習(クリニカルクラークシップ)を実施しており、地域医療実習として天草地域医療センターに1ターム1~2名の5年生が実習に来ています。このうち、実習中は1週間毎に各科を選択できるため、総合診療科を選択した学生を担当いたしました。多くは1週間の選択のみでしたが、1名は3週間すべて総合診療科を選択した学生がいました。

 内容としては、入院患者の担当を割り当て、指導医と直接相談しながら医療チームの一員として積極的な診療参加を促しました。また、毎朝のカンファレンスでプレゼンテーションを行いました。特に3週間の期間があった学生は、入院から退院までの流れ、退院後の生活についての配慮すべきことなどまで、一連の流れを学ぶことができたと考えます。また、外来、救急では、初診患者の病歴や身体所見などから検査計画や診断、治療につなげるトレーニングを担当医とともに行いました。さらに、天草の地域性も考慮し、通院にかかる時間や交通機関などの影響、普段の生活の状況把握、保健福祉なども含めた地域リソースの把握の重要性など、総合診療学的な内容も症例から直接的に学ぶ機会を設けました。

 今後は、より多くの学生が総合診療科での実習(総合診療分野でも、地域医療分野でも)ができるよう、大学での体制を作っていっていただけることを大いに期待しています。

  • 特別臨床実習
初期臨床研修医

 現在、初期研修医自身が総合診療科ローテートを選択できるような体制、充実した教育を行える環境を整えているところです。

 昨年度は、地域医療研修として1か月のみ他院から初期研修医が研修を行いました。指導医と連携しながら入院患者を担当し、医療チームの一員として積極的に診療に参加してもらいました。また、地域志向、患者中心の医療、家族志向などの総合診療学的な内容も症例をもとに学べたという声をいただきました。

 今後は、より多くの初期研修医が総合診療科をローテートできる体制を作っていきたいと考えています。

総合診療専門医(専攻医)研修

 総合診療研修プログラムのうち「総合診療Ⅱ」を担当しています。今年度は専攻医2名が週に1度研修をしております。本人のニーズ、診療能力に合わせた診療内容を指導医が調整しながら行っています。他科と協力しながら、呼吸器内科研修、超音波研修、上部消化管内視鏡研修なども取り入れています。また、ポートフォリオ勉強会を毎週行っています。

 今後も、玉名、大学とも連携しつつ、熊本全体で専攻医の充実した指導を行える体制を作っていきたいと考えています。

(専攻医2年目 S先生)

 総合診療科の専攻医2年目のプログラムとして、天草地域医療センターに来て住んでみると想像していた以上に働く環境も自然の環境もよいところでした。各先生方より適切なご指導をいただくことができ、不安を感じる場面は少なくなってきております。温泉は玉名のほうがよかったですが、天草の食事と海をとても気に入ったので、今後は天草地域で暮らしていきたいです。今後も皆さまに信頼していただける医師を目指し、しっかりと勉強していきます。

 今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

診療

天草地域医療センター 総合診療科
鶴 田 谷 口 松 本 鶴 田 松 本
空 田 *

* 火曜の第2、第4週は谷口医師、第1、第3、第5週は空田医師

 2019度から天草教育拠点の開設、天草地域医療センター総合診療科が常勤になり、平日は毎日外来を行っています。

 地域の先生方からは、「何科に紹介すればいいか悩む症例を紹介しやすくなった。」「原因のわからない症状でも相談できて助かる。」等のありがたい評価もいただいています。

 当院の総合診療科は、二次病院における病院総合医の役割として、
・医師会の先生方と密な連携をとり、天草の地域医療へ貢献をする事
・院内で専門医の負担軽減を目指しつつ院内連携を強化する事が重要な役割だと考えています。

  • 天草地域医療センター 総合診療科