平成28年8月17日~19日 平成28年度夏季学生地域医療特別実習を開催しました。
平成28年8月17日から19日までの3日間、地域医療・総合診療実践学寄附講座及び熊本県地域医療支援機構の主催で、平成28年度夏季学生地域医療特別実習を開催しました。
今回は本年の4月14日、16日に発生した熊本地震の被害の大きさを踏まえ、学生自らが体験することで将来の地域医療に役立ててもらうことを目的に、被害の大きかった益城町及び南阿蘇村で実習を行いました。
初日の午前中は、地震発生時点から今日までの熊本県(行政)と益城町(医療)の対応状況について、熊本県災害対策本部で尽力された熊本県健康福祉部の立川優局長、益城町災害保健医療調整本部長を務められた上益城郡医師会の永田壮一会長及び、DPAT(災害派遣精神医療チーム)で尽力された熊本県精神福祉保健センターの矢田部裕介先生にご講演いただきました。また、午後からのテクノ仮設団地における聞き取り調査に向けて、先のPFA(心理的応急処置)研修会に参加した学生から説明を受け、益城町へと向かいました。
熊本県健康福祉部 立川 優 局長 |
上益城郡医師会 永田 壮一 会長 |
熊本県精神福祉保健センター 矢田部 裕介 先生 |
PFAについて説明する学生 |
益城町ではテクノ仮設団地に隣接するテクノポリスセンターに到着後、益城町から委託を受け、既に仮設住宅の聞き取り調査を進められている、熊本大学政策創造研究教育センターの円山琢也准教授から、聞き取り調査について実演を交えながら注意事項等の説明を受け、その後テクノ仮設団地に移動して聞き取り調査を行いました。聞き取り調査は1グループ2~3人に分かれて、現在困っていることや将来の様々な希望について、休憩をはさみながら2時間半ほど行いました。最後にテクノポリスセンターに戻って、今後の聞き取り調査のまとめに資するため、情報の共有を行い、初日の実習を終了しました。なお今回のテクノ仮設団地での聞き取り調査は熊本日日新聞でも取り上げられました。
熊本大学政策創造研究教育センター 円山 琢也 准教授 |
テクノ仮設団地での聞き取り実習の様子 |
上天草総合病院 熊本県へき地医療医師の会 脇田 富雄 先生 |
懇親会の様子 |
2日目の早朝から、三重大学の三重県総合診療地域医療学講座の鶴田真三助教、三重大学医学部附属病院総合診療科の北村大助教並びに、鎌倉市長洲クリニックの松村伸先生の指導により初日の振り返りを行いました。その後、初日同様阿蘇地域における地震の対応について、ADRO(阿蘇地区災害保健医療復興連絡会議)事務局が置かれた阿蘇医療センターの甲斐豊院長及びADRO本部長を務められた阿蘇保健所の服部希世子所長にご講演いただきました。
三重大学 三重県総合診療地域医療学講座 鶴田 真三 助教 |
初日の振り返りの様子(朝セッション) |
阿蘇医療センター 甲斐 豊 院長 |
阿蘇保健所 服部 希世子 所長 |
午後は、①南阿蘇中学校(1・2・3年生)と②上村ぬくもり診療所(4・5年生)の2グループに別れて実習を行いました。
南阿蘇中学校では、今回の熊本地震で学習が遅れがちになっていることから、中学生との交流を深めながら学習支援のお手伝いをしました。上村ぬくもり診療所では、立野地区にあった立野病院が地震により閉鎖を余儀なくされ、急遽開設された診療所であることから、実習では被災地の中で運営されている関連施設の見学や、上村晋一先生の訪問診療のお手伝いなどをしました。
南阿蘇中学校で中学生の勉強を見る 医学生たち(1・2・3年生) |
上村ぬくもり診療所の関連施設を見学する |
南阿蘇中学校 白石 孝裕 教頭 |
上村ぬくもり診療所 上村 晋一 理事長 |
3日目は午前中、学生による実習の内容をまとめた発表が行われ、スタッフの先生方の講評ののち本実習を無事終了いたしました。
学生による発表の様子 | 集合写真(2日目に撮影) |
ご協力いただいた講師の先生方、テクノ仮設団地にお住いの皆様、聞き取り調査に同行してくださった熊本大学の学生の皆様及び青山学院大学の学生の皆様、南阿蘇中学校の先生、生徒の皆さん、上村ぬくもり診療所の関連施設のスタッフの皆様、多くの方々誠にありがとうございました。